guteki’s blog

愚適庵の日文美術館

 自作の、詩集・小説・随想など、一文をわざと長くしたり、逆に短文にしたり、形式段落を長大にしたり、訳の分からない文体にしたり、
色々に描いたものを展示しています。

小説

小説 うろ漏山のイナコ

『うろ漏山のイナコ』 『うろ漏山のイナコ』 第一章 どさ、えぐ。 私自身のことを話させていただく退屈な時間を少々お許しいただくとして、オリエンテーション的な身の上話。これはおそらく戦後のサラリーマン家庭の子供が辿った、一つの典型的な例である。 …

小説 近代詩の消長

『近代詩の消長』 序章 出会い ナラ公園の縁(へり)の、割と深い側溝の縁(ふち)にしゃがんで。危ない!今にも頭から落ち込んでしまいそう……。そんな具合で中を覗いている白髪頭の爺さんがおった。「じいさん、大丈夫けー、危ないがな」と走り寄ると、「心配す…

小説 思弁とエポケー

『思弁とエポケー』 イントロダクション 人間の認識機能は、一般に「理性」と「感性」の両輪によって成り立っていると言われる。これに数学者の岡潔は「信解(しんげ)」という認識機能を最上のものとして付け加えた。前二者に倣って言えば「信性」と言うこ…