guteki’s blog

愚適庵の日文美術館

 自作の、詩集・小説・随想など、一文をわざと長くしたり、逆に短文にしたり、形式段落を長大にしたり、訳の分からない文体にしたり、
色々に描いたものを展示しています。

言語の必要不可欠性

言語が人間にとって水や空気或は食料と同様に無くてはならない物だと言う事が忘れ去られているような昨今、今一度その必要不可欠性を確認しておくのは悪い事ではない。言語が人間にとって如何に大事かと言う事を人類の初めに戯画的に示唆したのが有名な旧約…

正読と誤読

正読と誤読 辞書を引いてみるとおかしなことに気付く。「誤読」(誤って読むこと)という言葉は出てくるが、対義語とされて然るべき「正読」(正しく読むこと)という言葉は出てこない。これは何を意味しているのであろうか。正読するのは当たり前で誤読が問…

詩の行方

●詩と歌 詩歌(しいか)と一口に言うが、「詩」と「歌」は元来別物である。「詩」とは「漢詩」のことであり、「歌」と言えば「和歌」のことを指す(もちろん「詩」を「うた」と読むことも出来る)。要するに歌の中で、日本のもの、つまり日本人が本来持って…

小説 うろ漏山のイナコ

『うろ漏山のイナコ』 『うろ漏山のイナコ』 第一章 どさ、えぐ。 私自身のことを話させていただく退屈な時間を少々お許しいただくとして、オリエンテーション的な身の上話。これはおそらく戦後のサラリーマン家庭の子供が辿った、一つの典型的な例である。 …

随想 生きて、いる、ことと、死んで、いないこと。

「生きて、いる、ことと、死んで、いないこと」 世紀末と煽(あお)り立ててみたり、新世紀と意気込んでみたり、相変わらずのマスコミの空騒ぎに踊らされて、自分でもついそんな気になってお台場のイベント会場にうかうかと行ってみたり。しかし、ちょっと考…

随想 現代詩の散歩

「現代詩の散歩 ーー 西脇順三郎の詩における 円環イメージを辿ってーー 」 ☆はじめに 現代の詩人で好きな人はいますか。あるいは、現代詩 人を誰か知っていますか。そう聞かれて、はい、金子み すゞさんが好きです、とか田村隆一という詩人だったら よく知…

ト二・ギーコ氏の妄想

『ト二・ギーコ氏の妄想 ー莫迦なシ"ップンのタワシー』 この世の光の中とやらに現れ出た(人は判る世界を光で表し、明るい世界は目に見えるから、判らない世界を闇で表す。何故なら暗闇では何も見えず何も認識できないから)、つまりこの世に生まれた出たの…

トニ・ギーコ氏の地球旅行

『トニ・ギーコ氏の世界旅行』 一 旅立ち 二 香港 『トニ・ギーコ氏の世界旅行』 一 旅立ち トニ・ギーコ氏は懶(なまけもの)である。縦の物を横にもしない。いや、この言い方に倣(なら)ってより正確に言えば、横の物を横にもしないほどの無精、横着者で…

詩集 日蝕の月光

『日蝕の月光』 序 「帰混沌」 「還差別」 「淫淫」 「途中下車」 「コスモス」 「ほのあかるい廊下」 「影(シャドウ)」 「殺戮」 「インフルーエンザ」 「遷化」 「邂逅」 『日蝕の月光』 序 「遂に新しき詩歌の時は来たりぬ」と、青年らしい頬を紅玉リン…

詩集 無意味な風景

『無意味な風景』 「奇跡」 「酒場の椅子」 「バイバイ」 「無意味な風景」 「通勤電車」 「鶏小屋」 「ギブ・みー・チョコレート」 「福祉的な光景」 「ガラン ドー」 「喫茶」 「花瓶」 「むい」 「みえない」 「バーバリ」 「弁当」 「落日」 「不在」 「…